一人暮らしを始めるにあたって、もっとも大きな悩みのひとつが「生活費」です。特に家賃や光熱費、日用品の購入など、毎月の出費は意外と多く、思っていた以上にお金がかかると感じる人も少なくありません。

そんな中、近年注目を集めているのが「シェアハウス」という選択肢です。複数人で住居を共有することでコストを抑えられるとされていますが、果たして本当に一人暮らしよりも節約になるのでしょうか？

この記事では、シェアハウスと通常の一人暮らしの生活費を具体的に比較しながら、どちらがよりお得なのかを詳しく解説していきます。

シェアハウスと一人暮らしの生活費を比較

シェアハウスと一人暮らしの生活費の比較表は、以下のとおりです。

費用項目	一人暮らし（月額）	シェアハウス（月額）
家賃	約65,000円	約45,000円
食費	約30,000円	約20,000円
光熱費	約10,000円	約5,000円
合計	約105,000円	約70,000円

詳しく見ていきましょう。

家賃を比較

シェアハウスの最大の魅力のひとつが、家賃を大幅に抑えられる点です。都市部ではワンルームでも家賃が月7万円を超えることは珍しくありませんが、シェアハウスであれば同じエリアでも4〜5万円台で住めるケースが多くあります。

これはリビングやキッチン、バスルームなどを他の入居者と共有することで、物件全体のコストを分担できるためです。一方、一人暮らしはすべての空間を自分ひとりで使える快適さはありますが、その分家賃は高くなりやすく、特に東京や大阪などの大都市では出費が家計を圧迫しがちです。

食費を比較

食費についても、シェアハウスでは節約しやすくなります。住人同士で食材を共有したり、調味料やお米などの基本的な食材を共同購入することでコストを抑えることができるでしょう。

また「今日は余ったカレーあるよ」などといったカジュアルな助け合いも珍しくなく、自炊が続きやすい環境であることも特徴です。

対して、一人暮らしではすべての食材を自分で揃えなければならず、使いきれずに食品ロスになるケースも多々あります。外食が増えれば当然出費も増え、月3万円以上かかることも珍しくありません。

光熱費を比較

光熱費もシェアハウスの方が割安になる傾向があります。電気・ガス・水道といった基本的なライフラインは、物件全体で契約して人数で割るスタイルが一般的なため、一人あたりの負担が軽減されます。

特に冬場の暖房費や夏場の冷房費は一人暮らしだと大きな負担になりますが、シェアハウスでは共有スペースのエアコンを皆で使うなど効率よくエネルギーを利用できます。また、光熱費込みの定額制になっている物件も多く、家計の管理もしやすくなります。一人暮らしでは月1万円前後かかることもありますが、シェアハウスでは5,000円程度で済む場合もあります。

生活費以外のメリット・デメリットを比較

初期費用を比較

初期費用の違いは、住まいを選ぶうえで見逃せないポイントです。一人暮らしの場合、賃貸契約には敷金・礼金・仲介手数料のほか、火災保険料や鍵交換代、さらには家具・家電の購入費まで加わり、想像以上にまとまった金額が必要になります。

一般的に初期費用は家賃の4〜6ヶ月分とも言われ、都市部であれば軽く30万円を超えることも珍しくありません。一方、シェアハウスでは敷金や礼金が不要な物件が多く、家具・家電付きのケースが大半。

初期費用は保証金や事務手数料程度で済むことが多く、引越しのハードルが低いのが特徴です。以下の表は、一般的な初期費用の比較です。

項目	一人暮らし（目安）	シェアハウス（目安）
敷金・礼金	約120,000円	0円〜30,000円
仲介手数料	約60,000円	0円〜10,000円
家具・家電購入費	約150,000円	0円（備え付け）
保証金・事務手数料など	約10,000円	約20,000円
合計	約340,000円	約30,000〜50,000円

家事全般の負担を比較

家事の負担という面でも、シェアハウスと一人暮らしには明確な違いがあります。一人暮らしでは、掃除・洗濯・ゴミ出し・料理など、生活に必要なすべての家事を自分一人でこなさなければなりません。

忙しい日常のなかで、これらを継続的に行うのは意外と大きなストレスになることもあります。特に慣れていない人にとっては、家事の段取りや家電の扱いにも時間を取られ、生活の余裕がなくなることも。

一方、シェアハウスでは共用部分の掃除を住人同士で当番制にしたり、業者が定期的に清掃を行うケースも多く、自分が担当する家事は必要最小限に抑えられます。キッチンや洗濯機などを共有することで、効率的に家事を進められる点も見逃せません。

生活における自由度を比較

生活の自由度という観点から見ると、一人暮らしに軍配が上がるでしょう。自分の住まいで何をするかはすべて自分次第で、誰にも気を使うことなくテレビを見たり、夜更かししたり、友人を呼んだりすることができます。

また、インテリアや生活スタイルを自分好みにアレンジできるのも一人暮らしならではの魅力です。一方、シェアハウスでは、共有スペースの使い方や生活音への配慮、掃除やルールの遵守など、ある程度の協調性が求められます。

深夜の騒音や来客なども制限されることがあり、「自由」を重視する人にとってはストレスになることも。とはいえ、他人との適度な距離感を楽しみながら生活できる人にとっては、むしろ刺激的で楽しい空間になることもあります。

シェアハウスを検討するときの注意点

運営体制を確認する

シェアハウスの快適さは、物件そのものだけでなく、どのような運営体制で管理されているかにも大きく左右されます。たとえば、清掃の頻度や管理者の対応スピード、トラブル時の対応などは、運営会社やオーナーの方針によって大きく異なります。

中には、定期的にハウス内を巡回して清掃・点検を行っている物件もあれば、完全に入居者任せというケースもあり、その差が生活の質に直結するのです。

特に、トラブルが起きたときに誰がどのように対応してくれるのか、また日常的な要望や相談ができる窓口があるかどうかは、事前にしっかり確認しておく必要があります。

ハウスルールを事前に確認する

シェアハウスでは、複数の人と共同で生活を送るため、円滑なコミュニケーションと生活秩序を保つための「ハウスルール」が必ず設定されています。

これには共有スペースの使用時間、掃除やゴミ出しの当番制、来客の制限、騒音対策など、細かいルールが含まれることが多いです。入居後に「こんなに制限があるとは思わなかった」と感じることのないよう、契約前にルールブックを読み込んだり、管理者に具体的な内容を確認しておくことが重要です。

自分の生活スタイルとルールが合わないと、思わぬストレスを抱える原因になります。逆に、ルールが明確で秩序が保たれているシェアハウスは、安心して暮らせる環境であることが多いです。

住民の属性を確認しておく

シェアハウスでは、どのような人たちと一緒に生活するかが、快適さに大きな影響を与えます。学生中心のシェアハウスと社会人中心の物件では生活リズムや価値観が異なるため、自分のライフスタイルと合うかどうかを見極めることが大切です。

外国人比率が高い国際交流型のハウスであれば、英語でのやりとりや多様な文化を受け入れる姿勢も求められます。また、女性専用・男女混合・年齢層限定など、住民の属性に特徴がある物件も増えているため、入居前にどのような人が多く住んでいるかを確認しておくと安心です。

内見の際に住民の雰囲気を肌で感じたり、管理者に入居者の傾向を尋ねることで、自分に合った環境かどうかを判断しやすくなります。

生活費を抑えたいならシェアハウスがおすすめ

生活費をできるだけ抑えながら、安心して暮らせる住まいを探しているなら、シェアハウスは非常に有力な選択肢になります。家賃が割安なうえに、光熱費や家具の購入費なども抑えられ、経済的な負担を大きく軽減することができます。

さらに、共用スペースや他の住人との交流を通じて、新しい人間関係や価値観に出会える点も、シェアハウスならではの魅力です。もちろん、共同生活ならではの気配りやルールの順守も求められますが、それを受け入れられるのであれば、生活コストと日々の充実感の両方を得ることができるでしょう。

特に、初期費用を抑えてすぐに引っ越したい人や、今後のライフスタイルを模索中の人には、柔軟かつ経済的な住まいとしておすすめです。